スウェーデンでの出産自体の費用は自己負担ゼロ。私も今回かかったのは移動のタクシー代と、患者用ホテルへの入院宿泊費(これも安い)だけでした。こちらでは和痛分娩*が一般的で私も和通分娩でしたが、それも追加料金なし。
*出産の痛みを緩和する分娩。『無痛分娩』の方が一般的な呼び名かもしれませんが、痛みがなくなるわけではないので和痛分娩と表記します。モルヒネ注射、笑気ガス、腰への麻酔(硬膜外麻酔)など。
妊娠中、出産で特に希望することがあればförlossningsbrevという紙にまとめておくとよいと聞いていました。私は和通分娩希望で使える鎮痛方法は全部使いたい!と思っていたので、そのことも書かなきゃいけないのかと思って妊婦検診のときに質問すると、何も希望してなければ和痛分娩になるから、使ってほしくない方法とか何か特定のものに恐怖を感じるかとかがなければ書かなくてよいと言われました。分娩時に会陰が避けないように押さえるのもスタンダードなので、それも書かなくてよいと。
他に希望することもないのでförlossningsbrevは書きませんでした。代わりに、妊婦検診のときに助産師さんがカルテに簡単な希望を書いていました。
そして迎えた正産期。夜になるとお腹が痛くて、でも朝になったら治まっているという状況が続いていました。前駆陣痛なのか、胎動で蹴られて痛いのかよくわからないときも。その状態で出産予定日超過。おしるしらしきものがあって数日後、予定日から9日目の夜から、腰もずーんと痛くなってきました。それまでの痛みも生理痛の重い感じに似てましたが、腰の重さが加わって「ああ、こっちの痛みか!」となんとなく納得。でもまだ間隔が規則的ではなかったので痛み止めを飲んで就寝。
痛みをやり過ごしながらうつらうつらして、明け方から間隔を計測。まだ規則的でないので朝からソファで痛みに耐えつつごろごろ…。
陣痛の間隔がどのくらいになったら病院に行くかは住んでいる場所と病院の距離によっても違いますが、私の助産師さんによると10分間に3回の痛みが来た時、と言われてました。でも産院にそれより前に電話して相談するのはOKなので、日本のように10分毎になったら連絡しようと思ってました。
陣痛が10分間隔に近づいてきて、出血もあったので16時頃病院に電話。陣痛はいつから始まったか、など色々聞かれました。いまルンドは病室がいっぱいで、まだ間隔もそんなに狭くないからもうちょっと家で待てる?と、もう少し間隔が狭くなってきたらまた電話することに。しばらく自宅待機。
お産は体力勝負と聞いていたので、夕食を食べてから電話しようと思って食べ始めたのですが、痛くてそれどころじゃなく、これは呑気に食べてる場合じゃない!と気付きました。陣痛の間隔も気づいたら10分に3回に。18時40分、慌てて病院に電話すると、今はまだいっぱいなんだけど、なんとかするからとりあえず来て!と言われ急いでタクシーで病院へ。声の調子で緊急度が伝わったのだと思います。
19時過ぎ、産科に到着、予備の部屋のようなところに通されました。陣痛と胎児の心拍を計る装置を付け、ひたすら陣痛に耐える。陣痛がひどくなるのが思ったより早かったので、もっと早く電話した方がよかったのかも。本当は30分計測して経過を見るそうですが、もう陣痛間隔が狭いのを見た准看護師さんが、助産師さんを呼びに行きました。でも皆取り込み中でなかなか来られず…准看護師さんが持ってきてくれた湯たんぽ的なものと、夫のマッサージで痛みを乗り切りました。私はマッサージが痛み緩和に必須!って感じだったのですが、これ、立ち合い出産じゃなかったらどうするのだろう…
やっと助産師さんに診てもらって、分娩室に移ったころには子宮口4センチ。痛み止めのモルヒネの注射をしてもらったら、痛さがだいぶマシに。この病院に着いてからモルヒネが打ってもらうまでの時間が一番つらかったです。何も使わず自然分娩する妊婦さんすごすぎる…!
モルヒネが効いて出されたサンドイッチを食べる余裕もできました。そうしているうちに笑気ガスも準備できて、陣痛に合わせて使い始めました。
子宮口が7センチになったので、麻酔科医に30分後くらいに来てもらいましょう、となる。
カルテによると23時すぎ、麻酔科医が登場。腰にエピドラルという麻酔を打ってもらいました。胎児の心拍が少し下がり気味なのでと、胎児の頭に計測装置を付けられました。これを付けると卵膜に穴が開いて破水も起こるので、お産の進みが速くなるとのこと。
それからまたしばらく待機したのですが、よく聞く「いきみ逃し」が必要なのかどうかよくわからず…スタッフが部屋から出て行ってしまっていて質問できなかったので、軽くいきみたい気持ちを堪えてました。まもなく来た助産師さんに聞いたら自然に任せてればよいとのことで、我慢しなくてよかった模様。
子宮口全開になってから生まれるまで2時間。助産師さんのガイドに従い3回ほど姿勢を変えていきみました。最後のひと踏ん張りに時間がかかってしまい、もう少しかかってたら吸引になってたかもしれないところだったようです。日付が変わり早朝(予定日から11日後)の1時56分、なんとか生まれました。泣き声がきこえてホッ。。
病院に着いてから出産まで、6時間半超でした。赤ちゃんはすぐ私の胸の上置かれ、夫がへその緒を切りました。
出てきた胎盤を(見たそうにしてたので)見せてくれ、「写真撮りたい?」と聞かれましたが、写真はいらないかな…(笑)
胎盤を出すときや会陰の傷の確認・処置の間も笑気ガスを使ってよくて、陣痛の痛みに比べると軽い痛みだったので贅沢をしている気持ちになりました。会陰の傷などは出産後8週間の検診の時にまたチェックしてもらえます。
その語後しばらく分娩室でカンガルーケアで家族の時間。ブログなどで見たことのある、お祝いのサンドイッチプレートが出てきました!
カンガルーケアでしばらく時間が経ったけれど、他の患者さんで手がいっぱいだったようで中々誰も来ない…明け方5時くらいになり、私も夫も眠くなってしまったのですが赤ちゃんそのままで寝るのも…と思ってナースコールをしたら、付添人用のベッドを広げてくれ、そこで夫の胸の上で赤ちゃんを寝かせたらいいと提案されました。(けっこうテキトー?)
しばらくしたらスタッフが赤ちゃんの簡単な検査、私の状態確認に来て、私も普段着に。病院のショーツと産褥ナプキンを付けたらとっても違和感があって、怖くてフィットさせられない…心配していた会陰は、裂けたけれど4段階のうち一番軽度の1度で痛みはそんなに感じなかったのですが、全体が腫れてたみたいです。助産師さんが、氷ナプキン(isbinda)なるものを持ってきてくれました。ナプキンに水をかけて、凍らせたものなのですが、とっても良かったのでおススメです!患者用ホテルでも作ってもらいました。ただ分娩室を出る前に交代した別の助産師さんに替えを頼んだら、水が凍ったのじゃなくてただ冷やしただけのナプキンが出てきて、知識の差があるみたいです。頼み直しました。
分娩室を出る前にトイレに行くよう言われました。なぜかトイレのドアを半開きのままにされる…やりづらい(^_^;)「ちゃんと膀胱が空になるまで出た?」と聞かれ、「うーん、空になるほどは出てないけど…」とモゴモゴ答えると、「ぽたぽたくらいじゃダメ、ちゃんとしっかり出てからじゃないと患者用ホテルには行かせられないから、とにかく沢山水分摂ってがんばって!」と言われ、サフト(果実味の水みたいなジュース)がピッチャーで出てきました。
その頃には分娩室の空き具合も落ち着いていて、焦らなくていいとのことだったので、体の水分吸収を待つ間部屋についていたバスルームでシャワーを浴びました。ピッチャーはさすがに飲みきれませんでしたが、水も合わせて飲んで無事トイレ合格。
赤ちゃんも私も特に問題がなかったので、分娩室を出て患者用ホテルに行くことに。患者用ホテルにはBB-avdelning familjといって出産後に泊まる産科部門があって、24時間助産師がいます。
患者用ホテルに移動するのに、私が赤ちゃんを抱っこして車椅子に乗り、夫が車椅子を押していくように言われました。多分アドレナリンの影響で、妙に元気だった私は何を思ったか「歩いて行けます!」と言ってしまったのですが、准看護師さんにあっさり却下されました。いやー、車椅子でよかったです。患者用ホテルまでの地下の道は長かったし、出産の興奮から覚めてみると体のダメージがよくわかりました。
患者用ホテルの廊下で偶然知り合いのカップルに会いました。前日に出産だったそうで、その時はルンドもマルメもいっぱいでヘルシンボリまで行く羽目になったそう!ひー!込み具合は本当に運次第ですが、私あの陣痛でヘルシンボリまで行かされてたらトラウマになってたかも…。次出産する機会があったらもっと早く電話しようと思います。
そういえば、カルテに陣痛の緩和のために入浴をしたいと書き込まれてたはずなのですが、入浴するタイミングなんて全然ありませんでした。他にも鍼も希望すればできるって聞いてたんですが。もっと早い段階で行かないとやる意味がないのかもしれません。